『虹が咲かなくても』は、玉ぼん先生の商業漫画作品。
引きこもりを続ける主人公と、悪い噂をされながらも彼を支える後輩女子の物語。丁寧に描かれる心の機微や、切なさを含んだ純愛のストーリーが印象的で、静かな感動を味わえる一作となっています。
この記事では、『虹が咲かなくても』の作品情報や配信状況、見どころについてご紹介していきます。
『虹が咲かなくても』作品情報と配信状況
作品名 | 虹が咲かなくても |
作者 | 玉ぼん |
掲載誌 | COMIC快楽天 2024年09月号 |
配信状況 |
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『虹が咲かなくても』見どころ
引きこもる主人公と、彼を支える後輩女子の物語
主人公・雨森律人(あまもり りつと)くんは、大学生活がうまくいかずに引きこもり生活を送る青年。
そんな中、後輩の出雲鈴音(いずも すずね)さんが定期的に訪れるようになり、彼女のおかげで生きていられるという状態です。
雨森くんにとって、出雲さんとは高校も同じで、今も同じ大学のサークルに所属しているものの、あまり関わらなようにしていた存在。
なぜなら、彼女と関わると、ぼっち時代の嫌な記憶が蘇ってしまうから。
同じ状況ではないにしろ、雨森くんのようにあらゆる気力を失って八方塞がりになってしまった経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか?
そんな状況でも、慕ってきてくれる後輩女子との物語です。
悪い噂をされながらも支えてくれる出雲さんの目的
雨森くんが引きこもりになってしまった要因の一つが、片想いだったエミさんが後輩と付き合ってしまったことによる失恋。
エミさんはビッチだと噂されている話題になり、雨森くんは、出雲さんに対し、「お前みたいな陰キャが意外とビッチだったりする」と心にもないことを言ってしまいます。
すると、出雲さんは、自分もビッチだと噂されていることを明かしつつ、胸元を大きく開けたりして誘っているような態度をとります。
雨森くんは、動揺しつつも出雲さんを抱き、お互いに抱えていた胸の内を明かすことになります。
でも、事後、破瓜の血痕を見つけてしまうと、彼女は照れくさそうな顔で「私みたいなのが、意外と一途だったりするんですよ」と呟くんですよね。
ここで、雨森くんは、彼女の行動の意図を理解します。
- 雨森くんを追って大学まで、同じサークルに来たこと
- 出雲さんは、ビッチだと噂されながらも、雨森くんの家に通っていたこと
- ビッチのフリをしながらも、雨森くんの想いを受け止めたこと
出雲さんは、昭和レトロなフィギュアを買ってきては雨森くんの家に昭和の町並みを作るほどの昭和好き。「人前では男は泣かない」という価値観を持つ彼女が、号泣する雨森くんを今は令和だからと優しく許容するんです。
雨森くんに感情移入しながら読み進めると、ヒロインの一途すぎる態度に感謝の念でいっぱいになります。
雨森くんの心情と雨模様
本作で印象的なのは、雨の描写です。作中はずっと土砂降りで、ラストでようやく雨が上がるんですよね。
これは、雨森くんの心情を象徴しているように思えます。
大学生活がうまくいかずに引きこもりになっている時はもちろん、出雲さんを抱きがながら心情を吐露する時も、ずっと雨なんです。
そして、ラストシーンでようやく雨が上がり、差し込む日差しの中を二人で歩いていく姿が描かれます。
出雲さんの「雨よ止め!虹よ咲けーッ!」という叫びに対し、虹は出ていないけれど、確かな前向きさがそこにはあります。
まさに、タイトルの「虹が咲かなくても」に込められた意味が、じんわりと胸に沁みるエンディングとなっています。
まとめ
この記事では、『虹が咲かなくても』の作品情報や配信状況、見どころついてご紹介していきます。
ぜひ参考にしていただき、玉ぼん先生を応援していきましょう。