『当て馬の恋』は、玉ぼん先生の商業漫画作品。
片想いの相手の恋路を邪魔してきた男女、恋に敗れたもの同士で次第に惹かれ合っていくラブストーリーです。ラブコメでありながら心理描写にも力が入っていて、丁寧に描かれた心の揺れが印象に残る一作となっています。
この記事では、『当て馬の恋』の作品情報や配信状況、見どころについてご紹介していきます。
『当て馬の恋』作品情報&配信状況
作品名 | 当て馬の恋 |
作者 | 玉ぼん |
掲載誌 | COMIC快楽天 2023年12月号 |
配信状況 |
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『当て馬の恋』見どころ
片想いの相手の恋路を邪魔してきた男女のラブコメ
同じサークルに所属する橘凛花(たちばな りんか)さんと、先輩の武藤くん。二人は結託し、それぞれ片想いしていた部長と芽衣さんの仲を邪魔していました。
しかし、その甲斐虚しく、部長と芽衣さんは結ばれてしまいます。
凛花さんと武藤くんは、失恋とヤケ酒の勢いで一線を超えてしまうと、その後も関係は続いて次第に本気になってしまうという展開です。
タイトルの「当て馬」とは、部長と芽衣さんに負けた凛花さんと武藤くんのこと。
当て馬同士の恋が描かれるラブコメなのですが、感動的なストーリーに仕上がっているのが特徴です。
当て馬同士が両想いになるまで
凛花さんと武藤くんが両想いになるまでの過程が丁寧に描かれます。
元々、「部長と芽衣さんの恋路を邪魔する」という同じ目的を果たすために協力していた関係。
お互いに、恋心などは全くありませんでしたが、その分、気楽に言い合える友達のような仲でした。
もちろん、部長や芽衣さんに未練はあるようでしたが、すでに手は尽くしたみたいで、深刻なネガティブな感じにはなっていないんでよね。
武藤くんの方は、凛花さんが「バカ」と評するように、立ち直りは早め。
一方、凛花さん視点で描かれる本作では、彼女の揺れる心情や、恋に向き合う姿勢が丁寧に描かれます。
全30ページとは思えないほど濃密で、ひとつの短編として完成度の高い構成です。
“これ”がいい
凛花さんと武藤くんが順調に関係性を深めていく中、部長と芽衣さんが痴話喧嘩をしたという噂を耳にします。
そこで、凛花さんは、ふと「今、武藤先輩が選ぶのは、芽衣と私どっちだろう。もし先輩に失恋したら、今度は誰と一緒に泣けばいいの?」と不安を抱きます。
すると、武藤くんに芽衣さんから電話があり、「今から来て」という言葉に、武藤くんは部屋を飛び出していってしまいます。
電話の内容を察して武藤くんに行くように促した凛花さんでしたが、「二人で泣いたこの部屋では泣かない」と決意して、出ていく準備を始めるんです。歯を食いしばっている彼女の横顔が切ないんですよね。
凛花さんの頭の中には、「武藤くんと芽衣さんがくっつくことで、自分も部長とチャンスがある」という考えが全くないような描写がポイントです。彼女にとっては純粋な失恋の瞬間なんですよね。
ところが、すぐに戻ってきた武藤くんは、出ていったのは部長に電話するためだったと明かし、近くのコンビニで買ってきた花を凛花さんに渡してありったけの言葉で告白します。
その花は、仏花。物語の序盤、武藤くんが芽衣さんのために花を選ぼうとしていて、その花が仏花だったことから凛花さんは面白そうだからとそのままにしていたんですよね。
武藤くんが凛花さんに告白しながら仏花を渡すことは、本来なら笑いのシーンになるはずなんですが、このタイミングだと感動しかないんですよね。慌てて買い直ししようとする武藤くんに向かって、凛花さんは、「これがいい」と涙を流して胸に抱くんです。
当て馬同士だった二人が、恋人同士になる瞬間。ラブコメなんですが、胸に響く展開で泣かざるを得ない物語です。
まとめ
この記事では、『当て馬の恋』の作品情報や配信状況、見どころについてご紹介してきました。
ぜひ参考にしていただき、玉ぼん先生を応援していきましょう。